【9月の読書記録】作品を追ってみたくなる作家

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重力ピエロ 伊坂幸太郎
★★★☆☆

あらすじ

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

(「BOOK」データベースより)

感想

染色体であるとか、遺伝子であるとか、血の繋がりであるとか、そういったものを、父は軽々と飛び越えてしまった。私にはそう思えたのだ。

(p.456)

まさか最後の対決のシーンで、本当に春が葛城を殺してしまうとは思わなかった。
死を匂わせてはいても、物語的にここは痛めつけるだけで終わったものだとばかり…。
読後感は不思議と悪くないけど、なかなか思い切ったストーリーだなぁ。
両親はどうして春を産むと決めたんだろう…。

蘆屋家の崩壊 津原泰水
★★☆☆☆

あらすじ

三十路を過ぎて定職につけずにいる「おれ」こと猿渡が、小説家の「伯爵」と意気投合するに至った理由は、豆腐。名物を求め津々浦々を彷徨う二人に襲いかかる奇怪な現象。蘆屋道満の末裔が統べる聚落、闇夜に出没する赤い顔の巨人、蟲食う青年、そして湖の水牛。幽明の境に立たされた伯爵の推理と猿渡の悲喜劇の果てに現出する、この世ならぬ異景。書下ろし短篇を加えた完全版。

(「BOOK」データベースより)

感想

「きつねの正体が判りました」伯爵が走りながら叫んだ。
「なんですか」
「あなたです」

(p.50)

ホラーというわけでもないし、こういうお話はどういうジャンルになるんだろう。怪奇小説…?
大正時代あたりのミステリー短編集だと勘違いして、シリーズをまとめて借りてきたけど、たぶん続きは読まなさそう。
学がないのと、しっかり読み込んでないのとで、理解できない部分が多かった。

誓約 薬丸岳
★★★★☆

あらすじ

家庭も仕事も順風満帆な日々を過ごしていた向井聡の元に、一通の手紙が届く。「あの男たちは刑務所から出ています」。便箋には、ただそれだけが書かれていた。送り主は誰なのか、その目的とは。ある理由から警察にも家族にも相談できない向井は、姿見せぬ脅迫者に一人立ち向かうが。故郷、家族、犯した罪…。葬ったはずの過去による復讐が、いま始まる。

(「BOOK」データベースより)

感想

『あの男たちは刑務所から出ています』
便箋にはそれだけ書かれていた。

(p.28)

主人公が刑務所にぶち込まれた罪状を知って、これは擁護できないと思ったが、真実は意外なものだった。
最近読んだ「重力ピエロ」でも思ったけど、どうしてあんな状況で子どもを産もうとするんだろうか…。
しかも、今回の話だと、相手が余計に問題すぎるからなぁ…。

あとがきで紹介されていた筆者の著書が面白そうだったので、今度読んでみよう。

嗤う名医 久坂部羊
★★★★☆

あらすじ

“嫁”の介護に不満を持つ老人(「寝たきりの殺意」)。豊胸手術に失敗した、不運続きの女(「シリコン」)。患者の甘えを一切許さない天才的外科医(「至高の名医」)。頭蓋骨の形で、人の美醜を判断する男(「愛ドクロ」)。ストレスを全て抱え込む、循環器内科医(「名医の微笑」)。相手の嘘やごまかしを見抜く内科医(「嘘はキライ」)。本当のことなんて、言えるわけない。真の病名、患者への不満、手術の失敗。現役医師による、可笑しくて怖いミステリー。

(「BOOK」データベースより)

感想

「いいじゃないか。僕らには好きなものがあるんだから。大方の連中は霧中になれるものがなくて、苛ついているのさ。」

(p.174)

どの話もなかなか強烈だったけど、特に印象に残ったのは「愛ドクロ」。
順当に妻殺害ルートに向かっているなぁ…と思っていたら、まさかの深夜のレントゲン撮影会END。
殺人よりもよっぽど常軌を逸している感はあるが、どこかシュールでほほえましい。

著者の他の本も読んでみるつもり。